“型”の違いを尊重するということ ー 押し込み型は避けたい理由 ー
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パラグアイアルパのレッスンでは、
「先生の手を見て、そのまま真似る」という学び方が基本になります。
この方法で、すっと感覚を掴める方もいれば、
なかなかうまくいかない方もいます。
私は日本で教える中で、
“見て真似る”だけでは上達しにくいタイプの方もいる
ということを、何度も感じてきました。
そこで、感覚だけに頼るのではなく、
何が起きているのかをできるだけ言語化して伝えられないか。
そう考えながら、これまで多くの方の手の動きや音の出方を観察してきました。
その中で、アルパの弾き方にはいくつかの“型”のようなものがあり、
人によって自然に選ばれている型が違うのではないか、
と感じるようになりました。
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<型の違いは、優劣ではありません>
私の感覚では、アルパの弾き方には大きく分けて、
• 弦の反動に乗って音を作る「反動型」
• 形の再現性を大切にして安定した音を作る「固定型」
• 横方向に流すことで音をつなぐ「流し型」
といったタイプがあるように思います。
これらは、どれが正解・不正解という話ではなく、
音楽の作り方の“思想の違いのようなものです。
なお、これらの分類は、アルパの奏法として
一般に体系化されているものではなく、
私自身が多くの演奏やレッスンの現場を見ながら、
便宜的に分けている整理です。
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<ただし、「押し込み型」だけは避けたい>
一方で、私はどうしても避けたい弾き方があります。
それが、弦を押し込むように弾く“押し込み型”です。
押し込み型は、一瞬は音量が大きく出るため、
「よく鳴っている」ように感じられることがあります。
しかし実際には、
• 音が伸びず、硬く痛い印象になりやすい
• 弦の反動が殺され、音が前に飛びにくい
• 指や関節に負担がかかり、故障につながりやすい
といった問題を抱えています。
音楽的にも、身体的にも、長く続けるには
リスクが大きい弾き方だと感じています。
そのため私は、型の違いは尊重しつつも、
押し込み型だけは、できるだけ避ける方向へ導きたい
と考えています。
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<型は「育つもの」でもある>
反動型・固定型・流し型は、その人の身体の癖、音の好み、
これまで出会ってきた先生や楽器によって、
自然に形作られていくものです。
無理に別の型へ変える必要はありません。
ただし、
• 音が苦しそう
• 速くなると詰まる
• 指や手首に違和感や痛みが出る
• 音が響かない
といったサインがある場合、
今の型がその人の身体や楽器に合っていない可能性もあります。
そのときに、別の“型の考え方”をそっと提示できることが、
指導者としての役割なのではないかと感じています。
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<おわりに>
アルパの弾き方には、ひとつの正解があるわけではありません。
けれど同時に、
身体を壊したり、音の可能性を狭めてしまう弾き方は、できるだけ避けたい。
型の違いを尊重しながら、音楽としても、身体としても、
無理のない道を一緒に探していけたらと思っています。
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