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2026年

楽器を替えて指を壊す人の共通点

パラグアイから戻り、新しいアルパに持ち替えました。今回の楽器は、同じエル・レイのアルパでも、テンションが少し高めの個体でした。(すべてのエル・レイがテンションが高い、という意味ではありません)


 テンションの高い楽器に触れたとき、ふと、過去に「楽器を替えた後に指を壊してしまった人」たちのことを思い出しました。
あのときは、「たまたま相性が悪かったのかな」「無理をしてしまったのかな」くらいにしか考えていなかったのですが、今回、自分がテンションの高い楽器と向き合ってみて、そこにははっきりとした“構造的な落とし穴”があるのだと感じました。
楽器が変わっただけなのに、それまで問題なく弾けていたフォームが通用しなくなる。そして、その違和感を“力”で埋めようとしたとき、音より先に、指や関節のほうが悲鳴をあげてしまう。
これは特定の工房や楽器の問題ではなく、楽器の個体差と、弾き手のフォームとの組み合わせの問題だと思います。楽器を替える予定のある方や、楽器を替えた後に調子が悪くなってしまった方、これからテンションの高い楽器に触れる方にとって、少しでも参考になればと思い、自分の実感をもとに書き残してみることにしました。


 ① 前の楽器と同じ「出力」を出そうとしてしまう

 新しい楽器に持ち替えたとき、多くの方が最初に感じるのは「思ったより鳴らない」という違和感かもしれません。
そのとき、無意識のうちに起こりやすいのが、前の楽器と同じ感覚で音量を出そうとしてしまうことです。「あれ?鳴りにくい?」と感じた瞬間、指は自然と力を足しにいってしまいます。
しかし、テンションの高い楽器は、出力を上げることで鳴らす楽器ではありません。むしろ、方向が合ったときに素直に鳴ってくれる楽器です。
音量で何とかしようとすると、音よりも先に、指・関節・腱に負担がかかっていきます。

 ② 「鳴らす=押す」になってしまう

 音が思うように出ないとき、多くの方は「もっと鳴らそう」と考えます。その結果、無意識のうちに指を深く入れたり、強く押し込んだりして、弦に“噛ませる”ような動きになってしまうことがあります。
これは、「鳴らす=押す」という感覚が身体に染みついている状態です。
ですが、テンションの高い楽器は、押せば鳴る構造にはなっていません。むしろ、押した瞬間に流れが止まり、反発を指で受け止めてしまいます。
この状態が続くと、腱鞘炎、爪のトラブル、関節の痛み、指の痺れなど、身体の方が先に悲鳴をあげてしまうことがあります。


 ③ テンションを「筋トレ」だと勘違いしてしまう

 「テンションの高い楽器で練習すれば、指が強くなる」そう感じる方も少なくありません。
たしかに、テンションの高い楽器で練習することで育つものはあります。ただし、それは筋力ではなく、方向の精度です。
力でねじ伏せるような弾き方を続けてしまうと、指は強くなるどころか、本来の“使い方”が少しずつ崩れていってしまいます。
テンションの高い楽器は、指を鍛えるための道具ではなく、方向のズレを教えてくれる鏡のような存在なのだと思います。


🌼今回は、テンションの高い楽器に持ち替えたときに起こりやすい「指を痛めてしまう落とし穴」について書きました。
ただ、テンションの高い楽器は、決して“怖い楽器”でも“危険な楽器”でもありません。むしろ、使い方が合えば、自分のフォームのズレや方向を、とても正直に教えてくれる存在だと感じています。


🌼次回は、「良い楽器は良い先生」というテーマで、新しい楽器とどう向き合えばよいのか、実際に自分が感じたことをもとに、“解決策”のヒントをいくつか書いてみようと思います。